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移民の経済学を(2015//1)

社会の維持費用は社会の安定に従いゼロに近付く

 

高校生のころ学校の図書館で面白い本を見つけ、その内容を今でも大体覚えている。それは米国に移民した一人の犯罪者の為に米国の市民社会がどれだけの損失を負ったかという内容だった。米国政府の犯罪者データベースはその両親が誰か、その子孫は誰かを記録している。親や子が犯罪者であれば彼らの情報も犯罪者データベースから引き出せ、犯罪者親子の相関関係が割り出せる。正確な数は忘れたが、その犯罪者樹状系図は大体以下の様なものだった。19世紀に1人の犯罪者が米国に移民してきた。その者の5人の子供が犯罪者になり、その各々の子供は5人の子供が犯罪者になり、その各々の子供は5人の犯罪者を持つに至ったというものであり、合計156人の犯罪者を収容する刑務所の費用、犯罪者に対する警察の捜索費用、裁判費用を合計するとこれこれの膨大な金額になる、というものだった。

 

一人の犯罪者を刑務所に収容する年間費用を500万円とし、10年刑務所に滞在したとしよう。その総費用は5000万円となる。何しろ刑務所は鉄筋コンクリート建てで多数のガードマンが24時間監視してくれる超高級なセキュリティー設備付き衣食住完備のホテルの様な建物だからだ。しかも無料だ。これに対する警察の捜査費用、弁護士や裁判官などの費用を1000万円としよう。弁護士も裁判官も高給取りで立派なオフィスで仕事をするからだ。更に、刑務所を出所した後の保護司の費用を1000万円としよう。すると総額7000万円となる。156人の犯罪者に対する費用総額は109億2千万円となる。それに犯罪者が多い社会は市民が様々な方法で自営しなければならない。その費用は算定できないが、例えば子供を学校まで送り迎えする保護者の費用が膨大な金額になる。

 

犯罪は遺伝するという科学的根拠は聞いたことが無いが、人間は似た者同士が集まってコミュニティーを形成しその中で通用する社会的ルールに従って行動する動物であること、子供は親の行動様式を模倣して育ち大人になってもその様式に従って行動する動物であることを考えると、犯罪者としての行動様式は世代を超えて伝染すると言って良い。一人の犯罪者が移民した場合、4世代にわたる彼の子孫たちに対する社会的費用は100億円を超える、という計算になる。この費用は全て税金から支払われる。

 

日本では7万人が刑務所に収容されており、その内外国人は7%だ。日本国民全人口に対する外国人の人口はその1%程度であることを考えれば、外国人の犯罪傾向は日本人の7倍ということになる。米国の受刑者は人口10万人に対して716人で、日本は54人という統計がある。(International Centre for Prison Studies) 300年の安定を誇る江戸時代の警察システムを調べればその効率の良さは信じられないくらいなことが分かる。

 

移民を積極導入した結果欧州では社会人基盤が崩壊しかけ、米国では日本の14倍の犯罪者を刑務所に収容している事実を考えれば、人類皆兄弟という訳には行かないことが分かる。