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中国人はなぜ爆買いするのか(2015//1)

隠された深い心の闇

 

中国人の爆買いが話題になっている。炊飯器やシャワー付便座を一人で何個も買って帰る。国内の業者は儲かるし、国としては観光立国という国策の成果だと胸を張りたいだろう。彼らは買物に「銀聯(ぎんれん)カード」いうデビットカードを使っている。円で買物をした分だけ元の口座から引き落とされるシステムだが、外国での利用には限度額があるので、無制限に豪遊とは行かない。

 

香港にはこの制限が無いので、大陸からやって来た中国人の爆買いぶりは凄まじいそうだ。いかにも田舎者風情のおっさん叔母さん達が欧米の一流ブランドに身を包んで数百万円の買物を平気でしている。日本で300万円の婦人用バッグが800万円でも売れるし、千円の紙おむつが5千円でも売れていると聞く。中国の外貨準備がこういう形で蒸発して行っている。シャドーバンクや有名国有企業が破産し、今後さらに破産すると予想され、公称外貨準備高の内実際に使えるのがその1-2割になっていてもおっさん叔母さん達は全く気にしない。今さえ良ければ、自分さえ良ければ良いのだ。

 

これらのおっさん叔母さん達の財布が温いのは習金平のおかげらしい。習近平政権の腐敗撲滅運動の為に何百万という役職に空きができ、それを埋める為に新たに役職について、その役職に付いていた利権をそっくりそのまま頂いたからと聞く。新任の者も前任者と同様汚職をすることになって急にあぶく銭が手に入り、どうせ先が見えないんだったら使ってしまえ、とばかりに爆買いに走ることになったのだ。汚職と嘘は中国5000年の伝統文化となったから、習金平が何をどうやっても無くならない。戦前の日本政府も国民党政府も失敗したし、毛沢東が文化大革命で数千万人を殺しても無駄だった。ナイーブな日本人が戦後資本と技術を投入して共に栄えようとしたが、その回答が尖閣と沖縄と南沙諸島の中国支配だ。

 

習近平が腐敗撲滅運動をして政敵を排除するのは、自分が毛沢東の様に皇帝になる為であり、そうしないと自分と一族が殺られるからだ。「どうせ何時か死ぬなら精々良い事をして感謝されつつあの世に行きたい」等とはサラサラ思わない。自分を絶対の神にするまで終らない。そういえば、中国人民は地方から北京の中南海に詣でて、膝を屈して役人に嘆願する者が引きも切らない。これは神に対する祈りの態度だ。その多くの嘆願者は捕らえられ辱めを受けて深く失望する。それでも嘆願者が途切れることは無い。筆者は漢詩や小説で中国文化に親しみ、中国人の無神論を知識としてはいたが、感覚として理解した感じになったのは、YouTubeでNHKの文化大革命のドキュメントを注意深く視た後だった。中国人とノーテルなどの職場で表面的な交流はあったが、番組の中の多くのインタビューで人々は率直に語っており、彼らの思考の底を窺えた。

 

そこで分かったことは、北京からの指示は中国人にとって神々からの宣託なので、住宅でも工業製品でも無尽蔵に造ることに何の躊躇いもない、ということだ。その為に環境がどうなろうが人が死のうが顧慮しない。日本人なら、こんなに造ったら在庫過剰で問題が起るだろうと予想し、自ら生産を緩めようとするだろう。その時、日本人は経済の神様の声を聞こうとしているのだ。ほとんどの日本人にとって、神とは天であり空であり無と言える。空の気を日本人は空気と呼び、これに依って自己の行動を律する。日銀や霞が関には経済の神の宣託を民に伝える神官が居て、神がこれからなさる事を経済予測として、政策として民に伝える。日本人は神に近付こうとして正月には何十万もの者が神社にお参りする。日本はこの様な神の国だからこそ、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を持ち出すまでもなく、明治以降近代資本主義国になり得たのだ。

 

日本の産業人や経済学者は表面の現象だけを見て「中国は何十年前の日本とそっくりだ」と思って投資したし、米国も日本で成功したからと勘違いして中国を資本主義陣営の良い子に育てようとしたが、とんだ鬼っ子になってしまった。この始末をどうつけるか?